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「ひらがな」なオーナー日記

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ひらがなな会長の、8コマ人生劇場

2017年7月20日発刊!
第4弾「ひらがなな会長の、社員への手紙」

十数年前に実施した社員アンケートに対する回答を集めた構成で、8コマ漫画やイラストを交え、とても読みやすい内容なっています。

ひらがなな会長の、8コマ人生劇場
週刊よもやま話
「ひらがな」な社長の毎日
マーケットコラム一覧
2017年10月

2017年10月13日

「市場を診る」


 先週の東京株式市場で、日経平均株価は10月第1週の堅調な地合いを引継ぎ、上昇スタートとなった。11日には終値ベースで、2015年6月に付けた第2次安倍晋三内閣発足以降の高値を上回り、1996年12月5日以来、20年10カ月ぶりの水準に到達した。
 株価上昇の背景としては、①国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを上方修正し、国内でも景気の拡大が8月で57カ月間となり「いざなぎ景気」に並んだ②22日の衆院選の投開票を控え、与党優位の予想が広がっており、政治の安定や日銀の金融緩和継続が期待できる③北朝鮮を巡る地政学リスクの後退―などが理由として挙げられる。さらに主要企業の決算発表があることや政策期待などを背景に、今後の日経平均株価は堅調な展開が予想される。ただ、政局や諸外国の動向次第では、相場の風向きが変わるリスクも考慮する必要があるだろう。

2017年10月05日

「米国経済は堅調!?」

米国経済は堅調!?イメージ1
 先週、トランプ政権は、法人税率を20%に引き下げ、米企業の海外収益の本国還流を目指す政策を公表した。
実現すれば、米国経済の押し上げが期待されるほか、財政規律への懸念にもつながり米金利は上昇し、ドル高となる。
ただ、今後は米議会での議論の段階に入るため、当面は税制改革期待からのドル高圧力は弱まる可能性があろう。
とはいえ、先日の米4-6月期の実質GDPが前期比年率+3.1%に上方修正されるなど、米経済の動きは強まっているようだ。
また、シティ・エコノミック指数(前回のメルマガ:マーケットコラムで説明 ⇒
http://www.masumo.co.jp/column/index.php#20170919_123720 )もプラス圏内に浮上した。
さらに、米9月米ISM非製造業景況指数が59.8と予想の55.5を上回り強い結果となったほか、米9月ADP雇用報告では、民間部門雇用者数が前月比+13.5万人と予想とほぼ一致となり、ハリケーンの雇用への影響が限定的だった。
このような経済指数を受けて ドル高の傾向がより強まっている。

一方、トランプ大統領は、次期FRB議長に、タカ派色が弱いバウエルFRB理事を選ぶ可能性が高いとの見方が広がった。これは、ドル高の上値を抑えるものではあるが、年内の金利引き上げの可能性はまだまだ高い。

今週末(10/6)には米雇用統計の発表を控えている。
事前予想では、非農業部門雇用者数変化(前月比):予想7.7万人 前回15.6万人、
失業率:予想4.4% 前回4.4%、
平均時給(前月比):予想0.3% 前回0.1%
となっている。
米雇用統計の発表を控え、様子見の動きが予想されるが、米国経済の堅調を背景に、利上げの方向によって、年末にむけてドル高傾向が出やすい環境となろう(高島正幸)。

2017年09月

2017年09月22日

「市場を診る」


 8月以降、株式相場の重しとなっていた北朝鮮の地政学リスクに対する警戒感がいったん和らいだことから、日経平均は約1カ月半ぶりに2万円の大台を回復し、年初来高値を更新した。また、為替市場では1ドル=112円台まで円安が進行した。
 しかし、週末にかけて再度北朝鮮情勢の緊張が高まったことから、次第に株価を押し下げた。今週前半は、配当権利取りの動きが見込まれ、需給面の支えとなりそうだが、それ以降は政治リスクにも注意を払いたいところだ。
 今月末の臨時国会冒頭で衆議院が解散され、10月22日にも選挙が実施される公算が大きくなってきている。今のところ、自民党が単独過半数以上議席をとる可能性は高いが、「大義がない」との批判も根強い。さらに、小池都知事に近い議員が結成する新党が勢いづいた場合には、国内政治リスクの台頭が株式相場の重しとなる可能性が高い。

2017年09月19日

「シティ・エコノミックサプライズ指数が上昇してきた!!」

シティ・エコノミックサプライズ指数が上昇してきた!!イメージ1シティ・エコノミックサプライズ指数が上昇してきた!!イメージ2
米国経済が想定以上の動きとなってきたようだ。
9月18日のシティ・エコノミックサプライズ指数が▲22.6と、6月に一時▲80程度まで下落していたが、ここにきて順調に回復している。

このシティ・エコノミックサプライズ指数とは、「びっくり指数」とも呼ばれ、米シティグループが算出する、各種経済指標と事前予想との食い違い(乖離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数をいう。
これは、雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇し、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。

 これが、回復しているということは、米国の経済指標の動きが強まっているということである。
つまり、トランプ政権の政策を巡る不透明感や北朝鮮問題からリスクオフ圧力が高まる場面はあったが、米国の経済自体は、順調に拡大が続いているといえる。

 ただ、直近の8月小売売上高や鉱工業生産指数は、事前予想を下回った。
これは、大型ハリケーンの被害の影響が大きかったようだ。
しかし、影響力は限定的で、今後はむしろ復旧需要が見込まれ、シティ・エコノミックサプライズ指数はプラス圏に浮上することが想像される。

 今後も、トランプ政権のおける政策の不透明性の高まりや北朝鮮問題は、すぐには解消するわけではないが、市場の注目度は徐々に下がってくる可能性が高い。

 今日から明日(9/19~20)までFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。
今回のFOMCでは利上げは予想されておらず、12月の利上げ実施を占う上でイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が、最近のインフレ動向をどうみているか、また、FRBがバランスシートをどのように縮小するかに注目が集まっているが、おそらく、FRBは保有債券を売却せず、償還期限を迎えた債券の再投資をやめることで段階的に資産を縮小するとみられる。
 このような状況下、一時的なリスクはあるものの、米国経済が想定以上の強さを示すに
つれ、ドル高円安傾向のベクトルはさらに強まるだろう(高島正幸)。

2017年09月06日

「米国財政問題・・・政府機関閉鎖?!」

米国財政問題・・・政府機関閉鎖?!イメージ1
 米議会は会計年度(10月~翌年9月)末までに、連邦政府の活動予算を手当するために新年度の予算法案を成立させる必要がある。
本予算が成立できない場合は、ひとまず暫定予算を成立させて、本予算の協議を続けることになる。
さらに、暫定予算も成立できない場合は、政府機関が閉鎖されることになる。
政府機関が閉鎖されれば、一部の行政手続きがストップするだけでなく、
政府職員の給与や国民への給付金なども支払われなくなる可能性があるため、
実体経済への影響が懸念される。
直近で政府機関の閉鎖が発生したのは、オバマ政権下の2013年10月にあった。
この時は、国民の安全や健康、財産保護に関する業務を除いて、
連邦政府の職員は原則帰宅待機となった。
 通常、予算法案は下院では過半数で可決が可能だが、上院では60議席以上が必要となる。
そのため、52議席しか持たない共和党は一部民主党の支持も得なければならない。
しかし、先日トランプ大統領がメキシコとの「国境の壁」を建設するための費用を確保する
ためなら、政府機関の閉鎖も辞さないとの姿勢をみせており、「国境の壁」の建設に断固反
対している民主党の支持をどう得るのか、大きな課題となるだろう。
そのため、今回の予算協議は、今まで以上に難航することが予想される。
 今回、上下院で多数を占めている共和党は、政府閉鎖を回避するために再び暫定予算を提
出するとみられる。
9月末までに、議会(特に上院)で少なくとも暫定予算に関して合意が得られるかどうかが
注目となる。
 また、債務上限問題(連邦政府が国債を発行して借り入れられる金額を法的に定めており、上限に達成してしまうと新たに借り入れが出来なくなるため、社会保障の支払いや政府職員への給与支払いできなくなるほか、米国債の利払い不能になる可能性にある。そうなると、米国のデフォルト懸念が浮上し、金融市場や実体経済に悪影響は大きい)とあわせ、9月は米国にとって、財政問題が大きな課題となってくる(高島正幸)。

2017年09月01日

「市場を診る」


 8月29日早朝、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過した。株式市場への影響が懸念されたが、日経平均株価は小幅安に留まり冷静さを保った。一方、為替市場では1ドル=108円台前半と4か月ぶりの高値を付けた。本来は日本がリスクにさらされたことで、円が売られると思われがちだが、逆に円高の流れとなった。
要因として、低金利の円で資金調達し、金利の高い外貨に転用して運用する投資家が、リスク回避のため、こうした取引の解消売りが円買いにつながったと考えられる。今後も北朝鮮リスクが意識される場面では、円高圧力に注意が必要だ。
但し、国際通貨基金(IMF)が示しているように、世界経済は緩やかながら回復基調にある。日銀は強力な金融緩和を継続する見通しであり、日本の金利は低位で推移するだろう。リスクオフ圧力が緩和してくれば、中長期的にはドル高円安が進むと考えられる。

2017年08月

2017年08月17日

「注目のジャクソンホール会合!!」

注目のジャクソンホール会合!!イメージ1注目のジャクソンホール会合!!イメージ2
 今年の「ジャクソンホール会合」は8月24日~26日に開催される。
この会合は、カンザスシティ連銀が開催する経済シンポジウムのことで、
1978年に始まり、1982年からワイオミング州のジャクソンホールで
毎年8月下旬に開催されている。
著名な経済学者や各国の中銀総裁などが多数出席し、
世界経済や金融政策などを巡り議論を交わすことで注目度が高い。

過去には、1998年にグリーンスパンFRB議長(当時の)が
FRB理事や地区連銀総裁らと接触し、その後の利下げの流れを作ったともいわれる。
2010年には、バーナンキFRB議長(当時の)が量的金融緩和(QE2)の導入を示唆し、
これを受けて当時の白川日銀総裁は日本の金融緩和検討のため急遽帰国し、
その月末に緊急の金融政策会合を開き追加緩和策を打ち出している。
さらに、2016年にはイエレンFRB議長が「追加利上げの条件は整ってきた」と発言。
金融政策転換局面での市場の地ならしの場として活用した。

さて、今年は?となると、今年は3年ぶりに出席する欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁の講演がある。
注目は米国ではなく、このドラギ総裁の講演になりそうである。
ドラギ総裁は3年前の会合で量的緩和の開始を示唆していた。
今回は、地域内経済への自信を示し、金融緩和の必要性が薄れているとの見解を示しそうである。
現在、ECBは月600億ユーロの資産買入れを年末まで継続する方針を明らかにしているが、
そのあとの具体的なスケジュールを未だ明らかにしていない。
今年予定されている会合はあと9月、10月、12月の3回。
ドラギ総裁は7月定例理事会で緩和策の修正についての議論は秋に行われるべきだと発言しており、
テーパリング(資産買入れの場段階的縮小)を巡る議論を9月にも開始される見方が多い。
この9月の定例理事会の前に開かれる「ジャクソンホール会合」で、
今後の金融政策正常化についての発言が焦点となろう。

為替市場はすでに金融緩和の出口戦略への思惑からユーロが買われ、対ドルでは10%超上昇しているが、
内容次第では、今後のユーロの動向に大きな影響を与えやすいタイミングだと言える(高島正幸)。

2017年08月04日

「市場を診る」


 安倍首相は3日、内閣改造と党役員人事を実施した。今回は支持率回復を優先し『堅実路線』で固められている。小泉進次郎氏の入閣は見送られ、サプライズ入閣こそ見当たらないが、バランスを重視した人事とみられる。同日の株式市場では、日経平均株価が50円安と売られたものの、財政政策拡大期待で建設株などに買いが入った。今後は支持率の動向が焦点となる。
 一方で、企業の2017年4~6月期決算は好調だ。3月期本決算発表時に比べると、増収率・増益率ともに拡大しており、18年3月期の通期業績見通しを上方修正する企業も相次いでいる。化学や鉄鋼、機械、電気機器、輸送用機器、卸売業など外需・景気敏感セクターを中心に好調で、年初来高値を更新する銘柄が続出している。
 為替相場や内閣支持率が不透明な中で、日経平均株価は上値が重そうだが、好業績が確認された銘柄には、買いが継続するとみている。

2017年08月04日

「今晩の7月の米雇用統計はいかに?」

今晩の7月の米雇用統計はいかに?イメージ1今晩の7月の米雇用統計はいかに?イメージ2
 昨日(8月3日)の金融政策会合で英中銀は政策金利を0.25%で据え置くことを決定した。
政策委員8名中(残り1名は空席)、ソーンダース委員とマカフィーティー委員の2名が据え置きに反対票を投じた。
一方、国債と社債の購入枠に関しては、会合一致で据え置きとなった。
満期償還の再投資継続とした。
銀行への資金供給スキーム(TFS)は2018年2月で終了することを決めた。
また、実質GDP成長率見通しを5月予想前年比+1.9%から同+1.7%下方修正、2018年は同+1.7%から同+1.6%に引き下げた。
以前から、英国で先行きの利上げが意識されていたが、英中銀総裁の発言がハト派的と受け止められたことで、為替市場では英ポンドが主要国通貨に対して下落し、欧州債券相場はほぼ全面高となった。
米国では、7月のISM非製造業景況指数が予想を下回り、米景気拡大の勢いが衰えるとの警戒感が広がった。
 今晩(8月4日21:30発表)、7月の米雇用統計が発表される。
(非農業部門雇用者数:前回22.2万人 ⇒ 予想18.0万人、失業率:前回4.4% ⇒ 予想4.3%、平均時給:前回0.2% ⇒ 予想0.3%)、
雇用の改善基調はある程度市場に織り込まれているとみられ、非農業部門雇用者数の前月からの増加数が予想を上回ったとしても、賃金の上昇圧力が強まらなければ、米10年国債利回りの上昇や為替市場での米ドル高進行は見込みづらいだろう。
さらに、トランプ政権の政策運営の不透明感も続いており、来週以降も米景気や物価の先行きには慎重な見方が残る。
特に本日は、雇用統計発表を控えていることから、ポジション調整の手仕舞いや様子見の雰囲気が漂う中、また、投機筋の円売りポジションが積み上がっていることもあり、短期的には円高に振れる可能性が高いだろう(高島正幸)。

2017年07月

2017年07月14日

「市場を診る」


 先週の日経平均株価は、米国の消費者物価指数を見極めたいとの見方や、3連休を控えていることなどを背景に、売買高もさえず、ポジション調整の売りが上値を抑え、株価は2万円を固める小動きの展開であった。市場が注目していたイエレン米FRB議長の議会証言では、年内のバランスシート縮小を計画する反面、「今後数カ月は物価の動向を注視する」など、金融政策の正常化や今後の利上げペースが、緩やかになるとの見方が示された。
 一方、欧州では今週20日のECB定例理事会や、8月にドラギ総裁がジャクソンホールで3年ぶりに講演することなどを控え、資産買い入れの縮小など、金融緩和政策の出口に対する発言に注目が集まる。中長期目線ではこうした金融引き締めの流れから、世界的な金利上昇基調が維持されるとみられ、金融株・商社株への買い場を探る展開になろう。(ますも証券)

2017年07月04日

「金融規制緩和が実現すると経済にフォローの風!?」

金融規制緩和が実現すると経済にフォローの風!?イメージ1
 米国トランプ大統領誕生からすでに5ヵ月余りが過ぎた。
この間、トランプ大統領は次々に大統領令に署名し、政策実行力とスピード感をアピールしようとした。
しかし、実際は減税や医療保険改革が進まないうえに、大統領選勝利に貢献し信頼も厚かったフリン大統領補佐官が辞任に追い込まれ、大統領自身にも弾劾の可能性が浮上してきている。
こうした中、今度は「金融規制改革法(ドット・フランク法)」の見直しなど金融規制の緩和に向けた動きが注目されている。
「ドット・フランク法」とは、2008年以降の金融危機を受け、2010年にオバマ大統領によって署名され成立した、いわゆるバブル防止法案だ。
同法による代表的な規制には、デリバティブ商品のリスク管理の強化や透明性の向上(デリバティブ規制)、銀行本体からのスワップ業務の分離(スワップ・プッシュアウト)、銀行による自己投資の原則禁止(ボルカー・ルール)などが含まれる。
同法は、トランプ大統領にとっては、中小企業の資金繰りを苦しめる悪法に映っていたようで、選挙期間中には「ドット・フランク法を排除する必要がある。銀行はカネを必要とする人に貸していない」などと発言し、同法の縮小・廃止を唱えていた。
就任直後、2月3日には金融制度改革に関する大統領令に署名し、財務省に同法の問題を洗い出すよう指示している。
一方で、共和党も、トランプ氏が大統領に選出される以前から「ドット・フランク法」の見直しを提議しており、共和党政権にとっても金融規制の緩和は規定路線だといえよう。

米国では、同法は過剰な規制が競争力、ひいては経済成長率を低下させる一因だという声も少なくない。
実際、預貸率(貸出/預金)や法人向け融資全体に占める少額融資の比率は10年前から大きく低下しており、金融規制によって特に中小企業が資金繰りに苦しめられている状況が推察される。
仮に規制緩和が進み金融機関がリスクをとる動きが出てくるとすれば、それは貸出の活発化を通して企業活動を支援し、米国経済の追い風となるだろう。
すでに、6月には米下院が「ボルカー・ルール」の全廃などを盛り込んだ「金融選択法案」を可決したほか、先日はトランプ大統領が2月の大統領令で指示した報告書の第1弾が取りまとめられた。
米ムニューシン財務長官は、今回は行政府として直ちに着手できる事項に焦点を当てたとし、その八割程度は議会を通さずに実施できると発言している。
ふたたび、自由な金融取引が出来るようになる可能性が高まってきたようだ(高島正幸)。

2017年06月

2017年06月23日

「市場を診る」


 6月13、14日のFОМC(米連邦公開市場委員会)で追加利上げが検討される中、ドル円は一時109円割れとなったものの、その後は急反発し、111円台半ばまでのドル高円安となった。また、FOMC後に一時米長期金利が、今年最低を更新した後、急反発に転じた。このことから、ドル円と米長期金利は相関性が高く、連動していることが見て取れる。
 米ドルと米長期金利が反発に転じた理由としては、FRBがQE(量的緩和)で購入した保有債券の縮小を年内にも始めるとの考えを示したことが挙げられる。保有縮小により債券の需給が悪化することで今後、米長期金利が上昇し、ドル高円安が進行するのではないかという思惑が先行したというのが今回の一連の動きだった。
 最近の米経済指標については、予想を下回っているが、本当にFRBが保有債券縮小を年内に始めることが出来るのか、注目したい。

2017年06月07日

「ギリシャがデフォルト!?」

ギリシャがデフォルト!?イメージ1ギリシャがデフォルト!?イメージ2
 ギリシャのデフォルトリスクが再び意識されている。
 まだ記憶に新しいが、過去に世界的な金融危機をきっかけに、ユーロ圏の5ヵ国(ポルトガル、スペイン、アイルランド、キプロス、ギリシャ)は国際融資団に頼らざるを得ない状況に陥った。現在はギリシャ以外の4ヵ国が救済を終え経済成長軌道に復帰している。
しかし、いち早く救済を受けたはずのギリシャは未だにEUとIMFの金融支援下から抜け出せない状態が続いている。
7月中には約60億ユーロの国債償還を控え新たな融資が必要となっているが、6月15日のユーロ圏財務相会合において同国の融資再開で合意できるのかどうか不安視されており、5月中旬頃からギリシャの国債利回りは再び上昇傾向にある。
 そもそもの問題はギリシャが単一通貨ユーロを導入するために財政を粉飾していたことにあり、2009年10月に政府の財政赤字隠しが発覚して以来、金融支援や債務交換、融資の返済条件緩和などと引き換えに、厳しい財政再建や構造改革を受け入れざるを得なくなった。この間にギリシャ経済は4分の3の規模に縮小。危機発生前に7%台だった失業率は一時30%近くまで悪化、貧困率はほぼ2倍に高まり、配給に頼って生活している人も増えているようだ。
 IMFはギリシャの債務問題を根本から解決するには債務の返済期限の延長や利払い軽減だけでなく、元本の削減も必要であると主張している。
 さらに、ギリシャの借金を負担することに対してEU 側からの反対は大きく、未だ合意には至っていない状況だ。
 特に、ギリシャ政府への最大の債権国となっているドイツで9月に総選挙を控えることから、大きい譲歩を引き出すことは難しく、この状況では欧州中央銀行(ECB)の資産買入れプログラムへのギリシャ国債組み入れも困難だろう(現在は買入れ対象となっていない)。
 ただ、一部では来年にも資産買入れプログラムの段階的な縮小が開始されるとの見方が広がっているが、時期的にはドイツの総選挙が終わってからの話となろう。それまでギリシャが持ちこたえられるかどうか疑問的なところはあるが、まずは、6月15日のユーロ圏財務相会合に注目したい(高島正幸)。

2017年06月02日

「市場を診る」


 足踏みしていた日経平均が、約1年半ぶりに、2万円の大台を回復してきた。要因としては米株式市場や、為替相場といった外部環境が持ち直してきたことが大きい。このところ北朝鮮問題などの地政学リスクや、欧州における政治リスク、米政権とロシアとの不透明な関係を巡る疑惑などが金融市場を動揺させていた。それらの悪影響はおおむね沈静化し、さらに米株式市場が3か月ぶりに史上最高値を更新したことや、米6月利上げ意識の高まりが、日経平均株価の上昇に拍車をかけたようだ。
 2万円を回復したことで、目先的には利益確定の売りも見込まれるが、予測可能なリスクについてはそれほど大きな混乱は想定していない。今後の懸念材料として、ロシアゲート問題の深刻化や、7月にギリシャ国債の大量償還、イタリアでは選挙の前倒し観測が出ており、潜在的なリスクとして把握しておきたい。

2017年05月

2017年05月18日

「トランプ大統領 政治スキャンダル!?」

トランプ大統領 政治スキャンダル!?イメージ1トランプ大統領 政治スキャンダル!?イメージ2
 5月17日、米国市場は久々に大きい下げに見舞われた。NYダウ372.82ドル安、為替ドル/円110.79円あたりまでドル安円高がすすんだ。さらに、日本市場でも影響を受け、日経平均は334.96円安、ドル/円110.53円あたりまでドル安円高がすすんでいる(5/18 11:00現在)。
きっかけは、政治スキャンダル。トランプ大統領がコミーFBI前長官に対し、フリン前大統領補佐官への捜査中止を要請したとするメモ内容が報じられ、政治的な混乱への警戒感が強まった。
一部議員は大統領の弾劾を呼び掛けており、1972年に起きたウォーターゲート事件(当時ニクソン大統領は辞任)との類似性を指摘する声もでている。
仮に、弾劾裁判⇒辞任となれば、一時的に政治的不透明感を嫌気して市場の混乱を招くが、弾劾の手続きには下院で過半数、上院で3分の2の賛成が必要であるため、現時点で実現の可能性は低そうだ。
ただ、大統領と議会との対立が深まることで、今後取り組もうとしている税制改革などの政策実現が一層遅れる可能性が高まる。
今後、5月24日の広聴会(コミー氏を招いて公聴会を開催)が予定されている。
この期間までは買い控えムードが広がりそうだが、売り一巡後には、2017年1-3期の決算発表において好業績銘柄がさらに予想以上の良好な業績と確認され、これが、相場全体の支えの元になるだろう。したがって、この押し目は、絶好の買い場となる可能性が高いとみる(高島正幸)。

2017年05月12日

「市場を診る」


 7日に行われたフランス大統領選挙の決選投票で、親欧州連合(EU)のマクロン氏が当選し、極右政党でEU離脱を主張したルペン氏に勝利した。同国のEU離脱の懸念が大きく後退したとの見方が広がり、8日の東京株式市場では、欧州売上比率の高いマツダやコニカミノルタなどの銘柄が買われ、日経平均株価の終値は450円高と、約2ヵ月ぶりに年初来高値を更新した。
 また、9日の韓国大統領選では共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)氏が当選し、9年ぶりの革新政権の誕生となった事で、10日の韓国総合株価指数も過去最高値を更新した。
 今週の日経平均は、トランプ大統領によるFBI長官解任などの懸念材料で、心理的な節目である2万円手前で足踏み状態となっている。しかし、投資家のリスクオンの姿勢は途絶えておらず、いよいよ1年半ぶりとなる2万円の大台に乗せてくると見る。

2017年05月09日

「英国 異例の総選挙!!」

英国 異例の総選挙!!イメージ1
 昨年6月、予想外のBREXIT(EU離脱)決定で世間を騒がせた英国のことは記憶に新しいが、今回も話題に尽きないようだ。
先月、英国メイ首相は突然、6月に総選挙を実施するという緊急声明を発表した。
予定されていた2020年(政策の安定性を高めるため2011年から議会任期固定法により5年ごとに所定の日に選挙が行われる。次回は2020年予定だった。)より3年前倒しすることになるが、最大野党からの指示も取り付け、議会は5月3日に解散し、6月8日の実施することが正式に決まった。
 現在の英国議会は定数650議席の下院で与党・保守党が330議席とかろうじて過半数を獲得している。
しかも、EU離脱戦略を巡っては、保守党内でさえメイ首相が主張するハード路線(完全離脱)とソフト離脱(移民をある程度受け入れ、関税なしの貿易を続ける折衷案)で二分している状況で、議会の意見をまとめることに相当苦労しているようだ。
そこで、EU加盟国との個別交渉が始まる前に総選挙を実施することにより、今後EUとどのような関係を望んでいるのか、改めて民意を確認しておきたかっただろう。
 直近の世論調査では、与党・保守党の支持率が労働党を20ポイント程度もリードしている。世論調査通り保守党の圧勝となれば、メイ首相は国民の信任を盾に反対勢力を封じ込め、英国は強硬離脱に向かって進むことになるだろう。
 しかし、今後のEU離脱との関係について、ハード路線かソフト路線かと問われればソフト路線を支持する声が過半数を占めるようだ。もし、ソフト路線を支持する声が想定以上に盛り上がった場合、今後の離脱戦略は見直されることになり、先行きは一段と不透明なものになってしまうため、6月8日の選挙は要注目だ(高島正幸)。

2017年04月

2017年04月14日

「市場を診る」


 トランプ米政権はシリアへのミサイル攻撃に続きアフガニスタンに非核型の大型爆弾を投下し「イスラム国」掃討へ手を打った。復活祭前のNY株式市場は慌ただしくなり、約2ヵ月ぶりの安値をつけ、リスク回避の動きが鮮明となった。これを受け日経平均株価が年初来安値を更新するなど軟調に推移した。ただ、徐々に反発機運の動きも見え始め、先週末の新たな地政学リスクが台頭した際も為替の面で円高が限定的な動きを見せていた。
 新年度は新たな資金流入や業績期待での海外勢の買いが増加する傾向にあり、8週間ぶりに日本株を買い越してきたことにも注目したい。18日の日米経済対話で、米貿易赤字について踏み込んだ議論になれば円高圧力の一因にもなりかねないが、本年度の大企業製造業想定為替レート108円43銭を大幅に超えた円高にならなければ国内製造業の業績期待につながろう。

2017年04月10日

「「米国によるシリア軍攻撃!!」」

「米国によるシリア軍攻撃!!」イメージ1
 米国は4月6日夜(日本時間7日)、シリア軍に対して巡航ミサイル「トマホーク」を発射した。
シリアが化学兵器を使用したとされる問題に対する報復措置として、軍事作戦に踏み切った。
これを受けて、7日の日経平均は一時18,500円水準まで下落、為替市場では1ドル=110円近辺まで円高が進行した。

このタイミングは、習近平訪米時に重なり、トランプ政権は軍事力の行使に躊躇しないことを習主席に目の前で見せることになった。
また、これは中国に対して、北朝鮮問題で本腰を入れなければ、従来から言っていたように北朝鮮に対する軍事介入もあり得るのだということを示すのと同時に、中国の南シナ海での挑発的な行為に対して圧力を加えることを狙っていたものであろう。

これまで、トランプ大統領が就任してから三週間、連日のようにメディアの前で20以上もの大統領令に署名するパフォーマンスを見せ、選挙公約を実現するにあたってリーダーシップを発揮する様子を見せた。
しかし、三権分立が最も際立った米国の政治システムでは、大統領令のみで政策を実現できるようなものではない。
先般、中東七カ国の国民の入国を一時凍結するという大統領令は司法府から差し止められた。
また、オバマ政権でつくられた健康保険制度、オバマケアを廃止に追い込む法案は議会で廃案となった。
このように、選挙公約の多くが実現できず、大統領の指導力が疑問視されているなか、今回のシリア空爆は強いリーダーシップを見せる絶好の機会となり、
1.国内政治状況の打破
2.オバマ政権と違い強いアメリカを標榜
3.中東における影響力の回復
4.北朝鮮と中国に対する圧力
を狙ったものと考えられる。

今後の相場は、この地政学リスクの高まりやトランプ大統領の政策実行力に対する懸念が影響しレンジ推移が続きそうであるが、4月末の決算発表のシーズンを向かえ、このあたりから相場も動機付く可能性があるとみている(高島正幸)。

2017年03月

2017年03月24日

「市場を診る」


 米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月15日開催され、FRBは事前の予想通り、昨年12月に続く利上げを決定した。イエレン議長の会見では「緩やかな」利上げペースが強調された内容となっており、市場では米長期金利が急低下し、為替市場ではドル安・円高が進行した。米長期金利の上昇一服によって円安の流れが一巡し、日経平均の動きも当面は1万9000円前後でのもみ合いが続くだろう。
 日経平均が上昇に転換するには日本株独自の好材料が必要となるが、来期の業績拡大期待があらためて高まるかが注目される。3月期決算企業の中には、第3四半期時点で通期計画を据え置いた企業も散見され、本決算に先駆けて上方修正が発表される可能性もある。今後は、国内企業の業績拡⼤期待があらためて高まることも見込まれ、その場合、⽇経平均は2万円の⼤台をトライする展開も期待される。

2017年03月24日

「遂に英国 EU離脱通告!今後のゆくえは?」

遂に英国 EU離脱通告!今後のゆくえは?イメージ1
 先般3月20日、英国政府は声明を発表し、今月29日に欧州連合(EU)に対して正式に離脱通告する旨を明らかにした。
昨年の6月23日に実施された国民投票で離脱を決定してから9ヶ月が経過し、遂にEUとの交渉が始まる。
しかし、これはあくまでも英国側の準備が整ったこと意味するだけで、EU理事会と欧州委員会が交渉の方針を決めるのには、まだまだ時間がかかりそうだ。
実際のところ、EUの実質的な最高意思決定機関であるEU理事会が離脱交渉の指針を示すが、これらのプロセスで2~3ヶ月かかるため、交渉が始まるのは早くても5月下旬から6月初旬となろう。
ただ、この時期は、仏独選挙を控え、選挙活動がピークを迎える時期にあたる。さらに加えて、秋にかけてはドイツの総選挙が控えており、これらEU主要2ヶ国が離脱交渉に集中するには困難な時期となる。したがって、協議が本格化するのは9月から10月になるだろう。
市場の関心は、各産業における新たな貿易協定や、域内で自由に金融業務ができるEU単一パスポートの今後の在り方などであるが、EU側が重視しているのは600億ユーロと推測される未払いのEU予算分担金、いわば「手切れ金(Exit Bill)」である。
EUは2020年までの各国の予算配分を決めており、加盟各国から合意を得ている。英国が自国の都合で途中退場するにもかかわらず、金銭的な負担なしで離脱を認めるのは不公平である。
というのも、英国は1973年に欧州共同体(EC)に加盟し、それ以来ECもしくはEUの職員は各加盟国および英国のために奉仕してきており、英国はその恩恵を享受してきている。具体的には、もらえるものはしっかりもらい、このような職員に対して年金等を英国が一切払わないのは不公平である。
離脱交渉で決まったことは、英国議会と欧州議会でそれぞれ承認を得なければならない。これら諸々の手続きには半年はかかるといわれている。前述の「手切れ金」だけでも膨大な時間と労力が必要である。
そもそも、手切れ金の正確な査定は不可能であり、英国・EUのどちらが妥協するまでは決着しないであろう。また、正式に離脱するまでは英国はEU加盟国であるため、勝手に自由貿易協定を締結できない。
2年間の離脱交渉は、EU加盟国のすべてが合意すれば延長できる。ただ、最初から延長ありきの交渉は双方に有益ではないため期限が差し迫ってくるまでは延長の話は出てこないだろう。(高島正幸)。

2017年03月03日

「市場を診る」


 先月28日、トランプ大統領が議会演説を行い、歴史的な税制改⾰とインフラ投資などに取り組む決意は確認できた。ただ、⼤統領就任前後の発⾔並びに⽮継ぎ早に打ち出した⼤統領令、ツイッターでの情報等と比較して、新味に乏しく、政策も具体性に⽋ける内容だった。
 しかし、市場の失望を招くほどではなく、米国のインフラの老朽化を指摘し、必要性を語った上で、議会に1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資を求めるとあらためて強調した。今月中旬、トランプ政権による予算教書が議会への提出が予定されている。実現には議会承認が必要なことから時間を要するとみられるが、巨大なインフラ需要が発生する期待があり、幅広い銘柄に恩恵が広がりそうだ。
 日本株についてもイエレンFRB議長の講演内容次第で、3月利上げ観測が急速に高まり、一段の円安株高も期待される。

2017年02月

2017年02月27日

「今週の為替相場の展開はいかに!?」

今週の為替相場の展開はいかに!?イメージ1今週の為替相場の展開はいかに!?イメージ2
 今週は、トランプ大統領の議会演説が米東部時間28日21時(日本時間3月1日11時)に米議会上下両院合同本会議で演説が予定されている。外交や移民規制、大規模減税の概要など幅広い分野について、政権運営の大枠を示すようだ。
ただ、その思惑の為替市場への織り込みはある程度進んでいるとみる。仮に、概ね公表の内容がドル高要因となったとしても、大幅なドル高にはならず、材料出尽くしとなる可能性があろう。
ただし、あのトランプ大統領のことであるため、講演内容によっては想定外の動きもあるので注意が必要だ。
 他方、3月1日には2月の米ISM製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表が予定されているが、内容は米国経済の強さが示されるだろう。この米国経済の強さはドル高要因となる。
 また、週末3日には、イエレン議長の講演が予定されているが、追加利上げに関する新たな材料はないようだ。
前のFOMC議事録(1/31~2/1開催分)では、早期の利上げが適切となる可能性があると指摘しつつも、ドル高の悪影響を懸念する声もある。また、バランスシート縮小に関することはなく、今後の会合で議論を始める姿勢にとどめている。今回も同じ内容が予想されている。

 今週は、ドル安傾向の展開を予想しているが、徐々に来週10日の米2月の雇用統計を控え様子見の姿勢が強まるだろう。だた、中長期的には、ドル高円安が進むため、円高場面があれば買い場となるとみている。
このような状況を踏まえ、近々のドル円の為替相場の変動の想定は110円~114円あたりと予想する。
 ただ、今後のユーロ圏のオランダやフランスの選挙では反ユーロ勢力が優勢の兆しもあり、投資に対してリスク・オンorオフに影響する可能性もあるため注視していかなければならない(高島正幸)。

2017年02月10日

「日米首脳会談はいかに!?」

日米首脳会談はいかに!?イメージ1
 日米首脳会談が2月10日(本日)に米ワシントンで開催される(日本時間2月11日3時頃 日米首脳共同会見予定)。この会談は、1月27日にメイ英首相に先を越されたが、これまでの新しくなった米国大統領との日米首脳会談において最も早い会談となる。しかも、中身についても今回の会談は異例となりそうだ。
 トランプ大統領は就任直後から通商問題でメキシコや中国や日本を名指しで批判している。日本が中国などと同様に通貨安誘導によって米国へ輸出攻勢をかけていると決めつけ、日米貿易不均衡のやり玉に日本車をあげているのは周知のとおりである。問題なのは、日本が「資金供給」によって通貨安を誘導しているというトランプ大統領の発言でもあるように、一国の金融政策にまで批判の矛先が向かい始めていることである。
 今回の会談で安倍首相は、米国内のインフラ投資などの分野で連携し、両国に成長と雇用をもたらす経済協力プランを提示するようだ。(もちろん、日本の首相が他国の雇用促進を目的に経済プランを策定することは異例なことである。)
この経済協力プランの中身は「日米成長雇用イニシアチブ」と題した5つの提案で、①米国内のインフラ整備、②世界のインフラ需要開拓、③ロボットや人口知能(AI)の研究開発、④サイバー宇宙など新分野での協業、⑤雇用と防衛の政策連携である。特に、①の米国内のインフラ整備では、日本企業が参画するテキサス州やカリフォルニア州の高速鉄道整備プロジェクトに、日本の政府系金融機関が長期融資を行うといったことも検討されるもようだ。このように、雇用を重視するトランプ大統領の顔を立てて、対日貿易不均衡の批判の矛先が日本の金融政策などあらぬ方向に向わないようにしたいとの思惑だろう。
今回は、これまでの日米首脳会談の踏襲のようなものとは違って、結果を予測するのは難しいが、会談が成功する可能性は高く市場の反応も好感されよう(高島正幸)。

2017年02月09日

「市場を診る」


 為替市場で、昨年11月以来約2ヵ月ぶりに1ドル111円台に突入した。一目均衡表で見ると、雲の中に入り下限の110円まであとわずかという水準だ。この背景には、2月3日に発表された1月の米国の雇用統計で賃金の伸びが予想を下回ったことで、3月の利上げが遠のき、年3回と言われていた利上げが6月、12月の年2回の公算が大きくなってきたことがある。それまでは構造的に円高に振れるとの見方もできるだろう。
 また、トランプ大統領のドル高けん制発言や日米首脳会談、英国のEU離脱の影響を受けて始まるオランダ・フランス・イタリア・ドイツの選挙。さらには米中の対立に中東情勢など、リスクを取り上げるときりがないが、代表的なリスク回避資産の一つでもある金価格は3ヵ月ぶりに高値を付けてきた。当面、海外情勢や為替の動向から目が離せない展開が続きそうだ。

2017年01月

2017年01月20日

「市場を診る」


 20日にドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任したが、11日に開いた大統領選後初の記者会見では「最も多くの雇用を作り出す大統領になる」と抱負を述べ、米国外に工場を作る企業には「高い国境税をかける」とけん制した。大統領選後、次期政権下で米景気回復が加速するとの期待感から円安・ドル高が進んでいた。
 一方、市場が期待していた減税や財政支出拡大など経済政策について目立った発言はなかった。就任後は具体的な政策内容が問われ始めるだけに、トランプ氏の今後の手腕に関心が集まる。
 先週末に次期財務長官の「強いドルが長期的に重要」との発言から円安株高になるなど、なかなか「為替頼み」から抜け出せない日本株相場だが、今週から3月決算企業の業績発表が本格化するとあって、トランプ氏の就任演説の内容を織り込んだ後は「業績」に一段とスポットが当たる相場展開が想定される。

2017年01月17日

「米国の不動産バブルの再来!?」

米国の不動産バブルの再来!?イメージ1米国の不動産バブルの再来!?イメージ2
 大統領就任前のトランプ発言(2017/01/11記者会見)が、世界に波紋を広げている。
発言内容は以前と変わらないもので、具体的ではなく(就任前なので当たり前ではあるが)期待外れのものだったようだ。
今後、大統領就任式は1月20日、その日に上下両院で行われる「一般教書」の演説で政策のアウトラインが明らかになり、2月上旬の予算教書でより具体化する予定となっている。
トランプ氏の政策は大型減税の導入、中国への高い関税、さらに5,000億ドル以上のインフラ投資など財政拡大があげられるが、ウォール街に自由な活動をさせるために、2010年に成立したドッド・フランク法(金融規制法)の廃止も公約している。
この法律は、2008年9月のリーマン危機を反省に金融危機の元になる不動産、証券、株のバブルを起こさないための金融規制である。
【ドッド・フランク法の基本内容】
・大規模金融機関に対する規制の強化
・金融システムの安定を監視する金融監督評議会の設置
・金融機関の破綻処理ルールの策定
・金融機関のリスクの高い取引の規制
・飛び抜けて高い経営者報酬の監視の強化
・デリバティブ取引の開示

トランプ氏は金融面でも米国第一を掲げ、金融規制への流れを、自由化に向けて転換しようとしている。
事実、トランプ氏当選後に最も株価が上がったのは、世界の大手金融機関で、例えばJPモルガン・チェースの株価は、11月4日の$68から$86へと26%上げ、ゴールドマン・サックスも、$175から$242へと38%も上がっている。
また、わが国の三菱UFJフィナンシャル・グループ(総資金量280兆円)の株価も、2016年11月初頭の500円付近から、773円へと約50%も上がっている(12月12日の価格)。これはドッド・フランク法の廃止を予想した、国際的な金融株上昇の一環であるが、この日米の大手金融機関の株価の上昇は、リスクの高い金融にマネーが流れることを意味し、その結果、米国の不動産バブルが促進される可能性が高まる。過去をみると金融の自由化と規制緩和は過剰な融資を生み、バブルの発生と崩壊に至るのが原則となっている。

現在、全米20都市の住宅価格を示すケース・シラー指数は、2016年の後半で195と、リーマン危機前の206(2016年)に迫っている(2000年を100とする)。
(2012年の130から、3度のQE(量的緩和:$4兆=470兆円)によって、65ポイント(50%)も上昇した。2016年11月にも前年比で5.2%上昇。)

米国の都市部の住宅価格は再び、わが国の1980年代や米国の2000年代のようなバブルに向かっているかもしれない。おそらく、2017年末からは、リーマン危機前のバブル価格に戻るだろう。不動産価格の上昇は、トランプ自身が不動産ビジネスを手がけていることと関係しているとも考えると、米国の不動産バブルが再来することが予想される。
FRBは、年3回の利上げを予定されるとしているが(利上げは不動産バブルを抑制)、不動産バブルと合わせ、利上げの回数やタイミングが気になるところである。さしずめ、1月20日の大統領就任式や今月末開催のFOMC(1月31日~2月1日)は注目だ(高島正幸)。

2017年01月06日

「申酉騒ぐ!?」

申酉騒ぐ!?イメージ1
 昨年の2016年はマイナス金利の導入、原油価格の暴落、英国のEU離脱、さらに米国大統領選挙とサプライズの出来事が多くありましたが、日経平均株価は年間で+80円と小幅ながらもプラスとなり5年連続の上昇でした。
この5年連続上昇は1978年~1989年の12年連続上昇以来、バブル崩壊後最長の上昇記録となりました。また、大納会の終値19,114円は年末株価としては1996年以来20年ぶりの高値となっています。
今年2017年は酉年にあたり、相場の格言では昨年の申年同様「申酉騒ぐ」と言われています。元々、酉=鶏は夜明けを告げる縁起の良い生き物として知られますが、過去の酉年の相場は平均上昇率15.0%と十二支の中で5番目に高く、過去5回の勝率も4勝1敗となっていますので結構期待が持てそうです。
一方、今年は、3月にオランダ総選挙、4・5月にフランス大統領選挙、9月にドイツ連邦議会選挙と大きな政治的イベントが予定されています。昨年末の米国大統領選挙にあったようにサプライズ的要素は数多くありそうです。
たくさんの期待と失望が混在していますが、今年一年が皆様にとって良い年となることを願うばかりです。

さて、目先に目を向けますと当面の注目ポイントは今晩の米国雇用統計があります。昨日のADP雇用統計は予想より悪い数字が発表され、また、最近は米国の長期金利の上昇ペースが鈍っていますが、雇用統計の結果いかんでは流れが変わる可能性があります。
そして今月最大のイベントは1月20日のトランプ大統領の就任式があり、いよいよトランプ政権が発足します。市場では期待先行に対する失望を懸念する声も上がっているなか、就任演説の内容は全世界が注目しています(高島正幸)。

2016年12月

2016年12月22日

「市場を診る」


 大納会まで残すところ5日となった。米大統領選挙以降、世界的なリスクオンムードの高まりが追い風となり、日本株も上値を試す展開が続き、日経平均は、2万円を意識した動きとなってきた。足元における日本株上昇の最大要因は10月以降、日本株を売り越してきた外国人投資家の買い転換と、米国長期金利の上昇に伴うドル高円安である。急速な円安進行を受けて、為替の影響を受けやすい外需関連企業を中心に業績の急回復が見込まれるなど、日本株独自の好材料が出てきている点を海外投資家は評価したようだ。
 ただ、来年1月20日の米国大統領就任後の米国をはじめ、世界経済はどうなっていくのか期待と不安が交錯する相場がしばらく続きそうだ。また、ユーロ安が象徴するように、地政学リスクの高まりが急速に意識されるなど不安は点在しており、不透明要因が売り材料として意識されている。

2016年12月16日

「市場を診る」


 トランプ氏が選挙戦を制し、次期米国大統領に決まってから、急激な円安と株価上昇が起きた。いわゆるトランプラリーの根幹は金利上昇にあり、それは将来の物価上昇につながることを意味する。また、トランプ次期大統領の打ち出している大規模減税やインフラ投資の拡大で、米国景気が過熱すると見られており、財源確保のため国債を発行する必要がある。そうなれば国債価格は下がり、長期金利が上昇するとの見方から、現在の円安や株価上昇に影響を与えている。
 もっとも期待先行で株価が上昇している側面もあり、トランプ氏が実際に大統領に就任し、政策が明らかになると、「うわさで買って事実で売る」局面も想定しておきたい。その場合、短期的には株価下落や円高などリスクポジションの巻き戻しが起きるだろうが、中長期的には上昇波動の中の小さな調整にすぎないと見ている。

2016年11月

2016年11月30日

「トランプノミクスのゆくえは?」

トランプノミクスのゆくえは?イメージ1トランプノミクスのゆくえは?イメージ2
 来年1月20日米国大統領就任式でトランプ新政権が発足する。今回、トランプ氏がまさかの勝利を収めたことによって、米国は大きな変化の時を迎えようとしている。
トランプ氏が掲げる政策は大型減税の導入、中国への高い関税、さらに5,000億ドル以上のインフラ投資など財政拡大があげられる。
しかし、伝統的に「小さな政府」を志向する共和党とは違う路線であるため共和党議会との調整が難航する懸念は残る。
とはいえ、米国ではインフラの老朽化問題が深刻化している。
このインフラの老朽化問題とは、1930年代のニューディール政策(1929年に始まった世界大恐慌に対処するため、フラン クリン・ルーズベルト大統領の下で実施された一連の経済・社会政策)を契機に橋や道路等のインフラが大量に建設された。
しかし、その後は維持管理に十分な予算が投入されなかったため、1980年代初頭にはインフラの老朽化問題が深刻化し、落橋などの事故を誘発、建て直しが急務となっている。
また、足元の米連邦政府のインフラ投資額の対名目GDP比率は1947年以来最低であり、財源などの問題はあるものの、現実味のある政策と思われる。
さて、市場では大統領選挙を受けて米国債利回りが急上昇、すでに、米国が財政拡大に動くことを見越した動きがでている。ある著名な債券投資家によると、今後4~5年で米10年国債利回りは6%程度まで上昇し得るという見方もある。
他方、米国は12月の利上げがほぼ確実視されているが、最近、FRBのイエレン議長は「高圧経済」という言葉を口にしている。
「高圧経済」とは、供給能力よりも需要が上回り、投資などが活発化してさらに需要圧力が高まる傾向にある経済のこというが、ここでは、多少インフレが行き過ぎても、そのマイナス面は、雇用改善のプラスで相殺できるという考えのようだ。
高圧経済によってインフレ期待がさらに高まる可能性もあるが、一方で、金融緩和の長期化によって金利上昇ペースが緩やかとなる可能性もある。
いずれにせよ、金利がこのペースで上昇を続けると悪い影響が広範囲に広がりかねない。インフレと金利の上昇を一定程度に収めるような政策が求められる(記・高島正幸)。

2016年11月25日

「市場を診る」


 トランプ次期米大統領は21日、環太平洋経済連携協定(TPP)について、就任初日に離脱を通告すると明言し、中国に対抗する主軸となるはずだった世界最大規模の自由貿易協定の実現は極めて厳しい状況となった。代わりに「米国に仕事と産業を取り戻す公平な二国間の通商交渉にあたる」と述べ、自国に有利な条件を引き出す考えを鮮明にした。
 これに対し安倍首相は、24日の参院TPP特別委員会の集中審議で、TPPについて「自由で公正な貿易圏を作る意義を発信する意味で、日本が世界に先駆けて批准すべきだという考えにいささかの変化もない」と強調した。
 日経平均は、米国の利上げペースの早まりに対する円安や、トランプ政策への期待から予想以上に強い相場が続いているが、安倍政権の成長戦略を支えるTPPが不調となれば、相場の波乱要因ともなりかねない。

2016年11月15日

「米大統領選挙を受けて~リスクオン!?」

米大統領選挙を受けて~リスクオン!?イメージ1
 先般の11月8日の米国の大統領選挙では、大方の予想に反しドナルド・トランプ氏(共和党)が勝利した。議会選挙でも共和党が上下院ともに過半数を占める結果となり、政権、上下院ともに共和党が優勢な「ねじれのない」状態となった。
この結果を受け、金融市場は一時的に不安定となったが、その後、ドル高円安が進み、NYダウは史上最高値を更新した。
 この動きの背景となったのは、トランプ氏の勝利後のコメントが国内の団結を訴える「まともなもの」であったこと、さらに、積極的な財政出動への期待が高まったことがあげられる。
(トランプ氏の政策は、成長率を3.5%に引き上げ、10年間で2,500万人の雇用創出、5,000億ドル以上のインフラ投資、TPPに反対、法人税15%引き下げはじめ減税規模は10年間で4.4兆ドル程度など)
今後の展開おいて、トランプ氏が正式に大統領に就任するのは、年明けの2017年1月20日であるが、それまでの期間で、注目されるのは次期政権の閣僚人事だろう。その中でも注目度が高いのは財務長官のポストだ。
現在、報じられている候補では米大手金融機関のCEO(JPモルガン・チェースの最高経営責任者(CEO)=ジェイミー・ダイモン氏)や元幹部(ブルームバーグが関係筋の話として、ムヌキン氏がトランプ氏の政権移行チームから次期米財務長官に推奨されたと述べた。ムヌキン氏はゴールドマンやソロスファンドなどを渡り歩いた銀行家で、今回の大統領選ではトランプ氏の経済諮問委員やキャンペーンの財務責任者を務めていた。)の名前があがっているようだ。さらに、トランプ氏は選挙期間中に金融規制の撤廃も主張しており、規制緩和の政策となる可能性がある。
 他方、足元の米国経済は、力強いとはいえないが、ほぼ完全雇用の状況にあるとみられ平均時給も上昇しはじめており、FRBは今後も慎重なペースで利上げを実施するとみられる。
加えて、大統領が不動産屋、財務長官が金融業界からの出身者となれば、米国の資産価格の動向には大いに気になるところだろう。
今回の選挙は、現状を大きく変えて欲しいという有権者の声の表れといえる。民意を受けた政権や議会の動向は、通常では想定されにくいものとなる可能性が高い(実際に、英国EU離脱にもあるように、想定外のことが起こることがある。)
そのような次期政権であるが、選挙期間中にトランプ氏が訴えていた政策がどの程度実施されるかが不明であり、共和党との悪化した関係修復も注目され不安材料は多いものの、当面は、期待感のリスクオンの動きがさらに強まる可能性がある。(記・高島正幸)。

2016年11月04日

「市場を診る」


 米国の大統領選挙が迫ってきた。3度のテレビ討論会を経て、クリントン氏優勢との見方が広がっていたが、クリントン氏の私用メール問題に対してFBIが捜査を再開したと報じられた事から、急激にトランプ氏の支持率が上昇してきた。直近の世論調査ではクリントン氏が47・7%に対してトランプ氏は45・3%と、クリントン氏がわずかに優勢を保っているだけだ。
 クリントン氏が当選した場合、基本的に連続性のある政策が期待されることから、一定の安心感が広がり、事前に売り込まれている事や、リスク許容度の改善などから株価の上昇が見込まれる。一方、トランプ氏が当選した場合は市場に与えるショックはブレグジット(英国EU離脱問題)以上との声も出ている。開票は日本時間の11月9日朝9時から始まる予定で、過去の大統領選を踏まえると、日本時間午後1時頃までに勝敗がつく可能性が高い。

2016年11月01日

「米大統領選挙など不透明要因はあるが、ドル高円安傾向!?」

米大統領選挙など不透明要因はあるが、ドル高円安傾向!?イメージ1米大統領選挙など不透明要因はあるが、ドル高円安傾向!?イメージ2
 先週のドル円相場は、今年7月以来となる1ドル=105円台までドル高円安が進んだ。しかし、週末かけてややドル安円高方向に押し戻された。このドル高円安が進んだ背景は、欧州リスクからの圧力が一旦緩和されたこと、米利上げの思惑から米金利が上昇したことが挙げられる。他方、週末にドル安になったことは、クリントン候補の不正メール問題が再度意識されたことで、米大統領選挙を巡る不透明感がリスクオフの流れを通じてドル安要因となったようだ
しかし、その米大統領選挙だが、依然としてクリントン候補が優勢と考える。先週は、FBIがクリントン候補の(国務長官時代)不正メール問題の調査を再開したことで、これまでクリントン候補が優位に進めてきた米大統領選挙に不透明感が高まった。ただ、選挙関連の情報提供サイトなどによると、現在、クリントン候補はすでに選挙人263人をおさえているようだ(勝利に必要な人数は270人)。クリントン候補を支持している理由で最も多いのは、「トランプ候補を支持しないから」であり、不正メール問題でクリントン候補からトランプ支持に変わる有権者は多くないとみる。不正メール問題の行方には一定の注意が必要だが、米大統領選挙はある程度見通しがついているとみている。だた、選挙はミズモノであるため注意は必要である。
 他方、先週発表の英国7-9期の実質GDPが前期比+0.5%と事前予想を上回り、また、同期のドイツ銀行の最終損益は2.78億ユーロの黒字となった。スペインではようやく政府の連立交渉にメドがついたようだ。来年以降の英国のEU離脱交渉の行方には注意が必要だが、欧州リスクからの圧力は一旦緩和したとみる。
先週、主要生保が2016年度下期の運用計画を公表したが、概ね外債投資、特にヘッジなしのオープン外債投資に前向きな姿勢を示している。これは、投資家の意識に影響を与えているようで、円高場面があれば、外債投資を積極化させるとの思惑が働いているようで、ドル円相場は、方向性としては、緩やかなドル高円安が想定できる。
 しかし当面は、日英米の金融政策会合や週末の米雇用統計、翌週の米大統領選挙を控え、神経質な動きであろうが、米雇用統計の堅調な雇用環境が示される見通しやFOMCでの12月利上げの示唆が期待できる。今週のドル円予想レンジは、103.50円~106.00円あたりとみる。(記・高島正幸)。

2016年10月

2016年10月14日

「市場を診る」


 12日、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国のロシアなど主要産油国は、トルコのイスタンブールで非公式会合を開いた。この会合でOPECが9月の臨時総会で決めた減産に非加盟国も協力する事を確認し、10月末に具体策について再協議することを決めた。
 主要産油国内では、年内に6ヵ月間の生産調整で合意することを目指しており、非加盟国を含めての減産協調に向け前進した内容となった。産油国の減産協調は原油価格の上昇や安定化につながり、株式市場にとって、資源国通貨の上昇やオイルマネーの流入は、株価上昇の呼び水となる可能性が高い。
 日本経済にとっても、原油価格の上昇はエネルギーコストがかさむことになるが、それに伴って貿易収支の黒字幅が縮小し、大きな円安要因となりうる。現状の日本経済にとっては、輸出額が増え企業業績の回復を図るために、一定水準の原油価格上昇は望まれる。

2016年10月12日

「IMF(国際通貨基金)による世界成長率見通しを公表」

IMF(国際通貨基金)による世界成長率見通しを公表イメージ1IMF(国際通貨基金)による世界成長率見通しを公表イメージ2
10月4日に発表されたIMFによる世界経済の成長率見通しは、7月予測から(2016年:3.1%、2017年:3.4%)据え置きとなった。

国別でみると米国の下振れ(2016年:2.2%(7月予測)⇒1.6%、2017年:2.5%(7月予測)⇒2.2%)が目立つ。IMFは下方修正の背景として、大統領選挙を控え先行き不透明感から企業が設備投資を見合わせている可能性があるとした。

英国は、2016年の見通しを1.7%(7月予測)から1.8%と上方修正した。EU離脱選択後も同国経済が予想以上に持ちこたえていることが背景。ただ、今回の試算は今後のEU離脱交渉が円滑に進むことを前提としており「長期的には不確実性が高い」とも指摘している。
2017年の予測は、1.3%(7月予測)⇒1.1%と下方修正した。

 ユーロ圏としては、2016年の見通しを1.6%(7月予測)から1.7%、2017年は1.4%(7月予測)⇒1.5%と上方修正したが、英国とEUとの新たな貿易協定交渉の結果が不透明、また、欧州の金融機関で不良債権問題が浮上しているとの指摘もあった。

 日本の見通しは、2016年:0.3%(7月予測)⇒0.5%、2017年:0.1%(7月予測)⇒0.6%に引き上げた。補正予算や日銀による追加金融緩和などの取り組み、消費税増税延期などが短期的に個人消費を下支えすると分析している。

 新興国では、2016年4.2%、2017年4.6%ともに成長見込んでいる。
中でもインドの成長率は、2016年:7.4%(7月予測)⇒7.6%、2017年:7.4%(7月予測)⇒7.6%として依然明るい。

また、ロシアは、原油価格の持ち直しなどを受けて、2016年:▲1.2%(7月予測)⇒0.8%、2017年:1.0%(7月予測)⇒1.1%上方修正した。

中国は、短期的には和らいだとし、比較的高い成長は継続する見込みだ。2016年:6.6%(7月予測)⇒6.6%、2017年:6.2%(7月予測)⇒6.2%。

先進国を中心に、経常収支の不均衡は縮小傾向があり、1990年代あたりの水準まで縮小するとの見通しだが、実質的には世界的な産業活動や貿易の不振を反映しており、貿易量の減少は経済の停滞感を強める結果となっている。
また、6月の英国のEU離脱選択や米大統領選挙において民主共和党両候補が保護貿易主義を揚げ支持を集めていることは、景気低迷の長期化により内向きの姿勢がさらに強まり、保護貿易主義の拡散を通して貿易の縮小の流れとなり、世界経済の低迷は一段と深刻化すると指摘している。
仮に関税引き上げに踏み切り輸入物価が10%上昇すると世界の生産が長期的には2%近く下押しされるといわれている。脆弱な世界経済の景気回復を損なう恐れがあることも留意したい。
ただ、ロシアやブラジルなど一部の新興国はリセッション(景気後退)を脱して安定化しつつあるとの認識を示した。
ブレグジット(英国EU離脱)の影響については依然不透明さがあり、今後は離脱交渉について注視する必要がある。動向次第では大幅な景気減速リスクも想定されるので注視していかなければならない(記・高島正幸)。

2016年09月

2016年09月23日

「市場を診る」


 先週、開催された日銀の金融政策決定会合で、これまでの金融政策の総括的な検証結果を公表し、加えて「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定した。今回の決定はマイナス金利の深掘りはなかったが、長期金利をコントロールする姿勢を明確にした。それは長期金利のマイナス幅拡大による弊害を抑えつつ、低金利状態を継続させることを意図したとみられる。
 また、追加金融緩和の手段を明示したことで、金融政策の限界論を抑えようともしている。この決定を受け、21日の株式市場は銀行株を中心に大幅高となった。ただ、この新たな金融緩和の枠組みについては市場の解釈が割れ、消化するにはまだ時間がかかるとみられる。また21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で再び利上げを見送ったことで、22日の円相場は約1ケ月ぶりの円高水準になるなど、為替市場も当面不安定な動きが続くとみる。

2016年09月05日

「米国8月雇用統計は予想を下回ったが・・・」

米国8月雇用統計は予想を下回ったが・・・イメージ1米国8月雇用統計は予想を下回ったが・・・イメージ2
 9月2日に発表された、米国の8月雇用統計では非農業部門雇用者数は前月比+15.1万人となり事前予想の+18万人程度を下回った。米国の6月非農業部門雇用者数の実績は、事前予測+29.2万人⇒結果+27.1万人と下方された。また、同7月の実績は、事前予想+25.5万人⇒結果+27.5万人と上方された。7月の上方修正を考慮すれば、8月の実績はほぼ事前予想通りの範囲ともいえる結果ともいえる。ちなみに、失業率は、4.9%と低水準での動きが続いており、雇用状況は安定している。
9月20~21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性を考えるうえで米国の8月雇用統計には注目が集まっていたが、このような内容は、9月利上げの可能性を高めるものではなかったようだ。実際、金融市場が考える9月の利上げの確立は雇用統計発表前では34.0%で、同発表後は32.0%となった。これは、複数のFRB高官が9月利上げの可能性を示唆したジャクソンホール会合の前の水準に戻っている。
このように今回の雇用統計を受け金融市場が考える9月利上げの可能性は若干低下した。しかし、NY株式市場が強含みリスクオンの流れのなかで、米10年国債利回りはむしろ若干上昇しドル円相場は1ドル=104円台までドル高円安が進んだ。現在、投機筋の円買いポジションが積み上がっていることもあり、反動で目先は円安傾向の動きが予想されよう。
一方、米利上げ時期は不透明感が残るなか、米10年国債利回りの上昇余地は限られるため、当面の動きは、1ドル=105円レベルでは上値が重くなるだろう。しかし、米国は利上げ方向に向かっており、また、日銀の追加金融緩和の可能性が高まっていることから、中長期的では緩やかなドル高円安のトレンドとみる(記・高島正幸)。

2016年09月02日

「市場を診る」


 先日の米国ジャクソンホールで開かれた会合を受け、米国の利上げを巡る市場の見方は急速に変化した。連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、講演で早期利上げの可能性を示唆した。
 市場予想によると、9月利上げの確率は約4割と直前よりも大きく上昇したが、昨年の12月の利上げ時より水準はまだ低い。9月の利上げについて市場はまだ半信半疑で、年内の利上げは1回で時期は12月であるとの見方が大勢を占めている。今後は、8月の米雇用統計の数値が注目され、予想の18万人前後を超えるようなら、9月利上げの可能性が高まり、ドル高になることが想定される。 
 日本株の環境として、追加緩和の可能性が高まっている事や、投機筋の円買いポジションが積み上がっている事なども勘案すると、ドル高円安気味の動きが予想される。9月20~21日に開催される日銀の金融政策決定会合の動向が気になるところだ。

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