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「金利がある世界」の資産運用③                                                        ~金利上昇局面で注目したい「債券」の活用~

2026年8月20日証券

前回は、物価上昇が続く「インフレの時代」では、表面的な利回りだけでなく、「実質金利」を意識した資産運用が重要であることをお伝えしました。今回は、金利のある世界で注目したい金融商品の一つ、「債券」について見ていきます。

金利が上昇する局面では、これまで低金利だった日本の債券にも、運用先としての魅力が生まれてきます。まず、個人の資産運用で身近な「個人向け国債」です。個人向け国債には、半年ごとに適用利率が変わる「変動10」と、満期まで利率が変わらない「固定5」「固定3」の3種類があります。(図表1)

図表1■個人向け国債の種類 (令和8年9月15日発行分)

商品変動金利型10年満期 「変動10」固定金利型5年満期 「固定5」固定金利型3年満期 「固定3」
特徴実勢金利に応じて半年ごとに適用利率が変わるため、実勢金利が上がれば受け取り利子が増えることもある満期まで利率が変わらないので、発行した時点で運用結果を知ることができる満期まで利率が変わらないので、発行した時点で運用結果を知ることができる
満期・金利タイプ10年・変動金利5年・固定金利3年・固定金利
直近発行の金利1.87%(税引前)〈第197回〉2.06%(税引前)〈第185回〉1.71%(税引前)〈第195回〉
利子の受け取り半年ごとに年2回
購入単価(販売価格)最低1万円から1万円単位(額面金額100円につき100円)
償還金額額面金額100円につき100円(中途換金時も同じ)
中途換金発行後1年経過すれば、いつでも中途換金が可能 直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる

金利が上昇していく局面では、「変動10」が選択肢の一つになります。

「固定3」などの固定金利型は、購入時の金利が満期まで変わりません。一方、「変動10」は半年ごとに適用利率が見直されるため、市場金利が上昇した場合には、その恩恵を受けられる可能性があります。金利上昇のたびに固定金利の商品へ乗り換える必要がないことも、「変動10」の特徴です。
一方で、今後金利が低下すれば、適用利率も低下する可能性があります。

つまり、金利が上昇する局面では「変動金利」、金利を長期間固定したい場合には「固定金利」というように、それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが大切です。


次に注目したいのが、日本よりも高い金利水準が期待できる米国債です。(図表2)

米国は政策金利を引き下げる局面にあり、米国債を選ぶ場合は、利回り(利率)が高く、残存期間が長いものも選択肢となります。長期間にわたって、高い水準の金利を固定することで、この先、市場金利が低下したとしても、購入時に確定した水準の利率で利子を受け取り続けることができるためです。

米国債は、米国の金利環境だけでなく為替の影響も受けます。米国の市場金利が低下すると、一般に、既に発行されている債券の価格は上昇します。特に、残存期間が長い債券ほど金利変動に対する価格の感応度が大きく、金利低下局面では価格が上昇しやすくなります。

そのため、米国債への投資では、満期まで保有して利子や償還金を受け取るだけでなく、金利低下などによって債券価格が上昇した場合に、途中で売却し、売却益を得る方法もあります。

ただし、債券価格は金利動向などによって変動するため、売却時に損失が生じる可能性もあります。また、米国債は外貨建ての商品であるため、円とドルの為替変動によって、円換算での運用成果が大きく変わる点には注意が必要です。

米国債には、保有期間中に定期的に利子を受け取る「利付債」と、利子の支払いを分離した「ストリップス債」があります。

利付債は、半年ごとに利金を受け取りながら運用する商品です。一方、ストリップス債は途中で利金を受け取らず、購入価格と満期時の額面金額との差額が主な収益になります。

ストリップス債は途中で利金を受け取らないため、その利金を再投資する手間がありません。そのため、長期間の運用では、複利的な効果を活用しやすいという特徴があります。

図表2■米国債の種類

商品利付債ストリップス債
利率(クーポン)あり(年1.5%~4%台)なし
収益(リターン)半年ごとの利金+償還差損益購入価格と額面(100%)の差益
課税利払いの都度、課税満期償還時または中途売却時に課税
メリット日本国債に比べ高金利 高い流動性(中途売却が容易)途中で利金を受け取らないため、保有期間中に課税されない 再投資の手間がなく、複利で効率的に資産を増やせる
デメリット複利効果を得るには再投資が必要 利払いの都度、利子に対して課税される保有期間中の利息収入がない 中途売却や金利変動時の価格変動が利付債より大きくなる場合がある

※税制については、保有する債券の種類や売却・償還の状況などによって取り扱いが異なるため、実際の投資にあたっては確認が必要です。

このように、債券と一口にいっても、その特徴はさまざまです。「金利がある世界」では、預金だけでなく、個人向け国債や米国債なども選択肢として考えられるようになりました。

一方で、金利が上昇すると債券価格は下落するなど、債券にもリスクがあります。また、米国債には為替リスクもあります。

大切なのは、「金利が高いから買う」という単純な考え方ではなく、

「金利」「価格」「為替」「運用期間」

を組み合わせて、自分の資産運用の目的に合った商品を選ぶことです。

では、債券以外の資産はどうでしょうか。インフレに強い資産として、株式や不動産などもあります。次回は、金利上昇・インフレの時代における「株式」の役割について解説します。

ますも証券 谷口 文康